Esquire 25年2月号 キム・スヒョン
久しぶりの画報撮影だったと思いますが、いかがでしたか?
正直、緊張しました。プラダの今回のコレクションの衣装をうまく着こなせるか心配でした。現場の雰囲気が和やかだったので助かったと思います。グレーのジャンプスーツにブラウンのレザージャケットを着たのが一番記憶に残ってます。不慣れなスタイルだったので心配しましたが、モニターを見て「あっ!」と驚きました。 雰囲気よく撮れていました。
時々、画報撮影を演技に例えることがありますが、今日のキム・スヒョンはこれまでのキャラクターの中で誰に一番似ていると思いますか?
やはり、現在進行中の「ノックオフ」のキム・ソンジュンではないでしょうか?ここ数ヶ月はキム・ソンジュンとして生きてますから。
少し時間が経ちましたが、「涙の女王」の話をしなければならないと思います。本当によく練られた犯罪とロマンチックコメディが完璧な比率でミックスされた名作でした。あのような台本を初めて読んだときの感じが知りたいです。
台本の段階から本当に面白かったです。ただ、自分の役割を消化しようと思うと心配になりました。結婚も、離婚も、弁護士も、財閥家の義理の息子も、すべて見知らぬもので、準備しなければならないことがたくさんありました。だから、いろいろな人とたくさん会話をしながら撮影しました。愛されてるキャラクターになって本当に良かったです。
そういえば、結婚も離婚もしたことがなく、弁護士に会うこともあまりなく、財閥家の義理の息子は想像するのも難しいですよね。
だから、現場で二人の監督(チャン・ヨンウ、キム・ヒウォン共同演出)のお話をたくさん聞きました。チャン・ヨンウ監督バージョンもあれば、キム・ヒウォン監督バージョンもあり、それに僕が今まで見て聞いて想像した部分が加わって「涙の女王」のペク・ヒョヌが生まれました。
「涙の女王」は、文章で読んだときも面白かったのですが、俳優たちの演技力がとても素晴らしかったので、うまく具現化されたと思います。特にコミカルな要素がですね。
作品に出てくる俳優たちは皆、笑いも多く、楽しい面がたくさんあります。そのような面が作品にも自然に溶け込んだと思います。撮影現場では、僕たちだけで本当にたくさん笑いました。
どのシーンが一番記憶に残っていますか?
第1話でヘインの叔母(ホン・ボムジャ、キム・ジョンナン扮)が誕生日に現れて「ボムジャ来た」と叫びながら騒ぐシーンとか、龍頭里に追い出された家族が皆で食事をするシーンなどが思い出されますね。やはり俳優たちがそうやって集まったシーンが記憶に残ってます。龍頭里のシーンは坡州(パジュ)のセットと聞慶(ムンギョン)で分けて撮ったのですが、その食事のシーンは聞慶(ムンギョン)で撮ったものです。みんな演技もアドリブもすごくて、目が合うたびに笑いが出そうで、我慢するのに苦労しました。
完成した作品をじっくりとご覧になりましたか?
たぶん、僕が撮った作品の中で、役者としてではなく、視聴者として作品を楽しんだのは初めてだと思います。僕も愛聴者でした。
初めてということは、元々モニターを全くしないということですか?
そうではありません。元々、演技の分析もし、後悔もし、勉強するように自分の作品を見るんです。でも、「涙の女王」は文字通り視聴者になり、梅の花を待ちながら見ました。
パク・ジウン作家がキム・スヒョンさんにコメディを求めたと聞きましたが、その要求にどの程度応えたと思いますか?
撮影現場では最善を尽くしても、見ている人が受け止めてくれるからこそ、面白さが伝わるんですよね。僕の評価を下すのは難しいですが、周りから面白いと言ってもらえることが多くて嬉しかったです。
私はキム・スヒョンの演技から「控えめなジェスチャーがより大きな笑いを与えることができる」ということを感じました。
キム・スヒョンの演技ではなく、ペク・ヒョヌの身振りだと言ってください。
ところで、ペク・ヒョヌのように現実に存在しないキャラクターをどうやって創り出す のですか?
結局、どうやっても「キム・スヒョン」から出発します。「キム・スヒョン」を持って出発しますね。台本の中のキャラクターにキム・スヒョンを埋めて出発しないと、似合う感じが出ないので。その後は繰り返し、繰り返し、長い練習です。
一番好きな喜劇俳優が気になります。
今回「ノックオフ」で父役で共演したユ・ジェミョン先輩が思い浮かびますね。台本により、演出により、現場の状況により、どんな変数が生じても、本当に魅力的な演技を引き出してくれると感じました。外国人俳優の中では、前にも言いましたが、クリストフ・ワルツが好きです。ワルツが吐くセリフを聞いてると、まるで歌を聴いてるような感覚になります。
次の作品である「ノックオフ」は、キャストだけでも大きな期待が寄せられています。
今回はヒューマンドラマで、普通の会社員だったキム・ソンジュン(キム・スヒョン扮)という人物が様々な危機を乗り越えながら生き残っていく過程を描きます。そしてその過程で、最終的に人間そのものが「オフ」になる、もしかしたら登場するすべての人物がそういう人生の結論に至るというドラマです。
だいたい王様だったり、ソウル大学法学部首席入学だったり、金持ちで医者である宇宙人など、すごい経歴の役柄を演じてきましたが、今回はちょっと普通の役ですね。
そういえば、キム・ソンジュンも名門大学出身で出てきますね。今、撮影日程でいうと半分くらいですが、キム・ソンジュンという人物が直面する困難を乗り越える過程が面白いです。香港のロケも行きましたし、そこで今申し上げられない特別な出会いもありましたので、楽しみにしていてください。
多作を目指す俳優ではないと思いますが、休みの日の過ごし方を教えてください。
僕は 自分のケアに時間を使うほうです。体、精神、体力、健康など、あえて言うなら、副交感神経を活性化させるのに役立つものに集中します。良い香りを嗅いだり、美味しいものを食べたり、何も考えずに瞑想して眠りに落ちたりします。スキーに行ったり、ゴルフに行ったり、ボーリング、登山、自転車など、体を使う趣味がとても好きです。達成感のためか、体を使う趣味は一生捨てられないと思います。「管理」というと堅苦しく聞こえますが、実際は天候によって、体調によって、いろいろな趣味を交互に行う程度です。
最近、一番印象に残っていることがあれば?
役者生活をしていて、同年代の友達に会う機会が思ったより少なかったのですが、今回、偶然、1988年生まれの同年代の友達がたくさんできたんです。すごく嬉しかったし、彼らと過ごした時間が記憶に残ってます。
もう18年目ですが、演技という業が持つ芸術的な面、技術的な面でも、自分なりの哲学ができたと思います演技とは何ですか?
演技とは、結局は観客の心を動かすことだと学びました。観客は、役者がどれだけ研究しているか、体調がどうなっているか、他の役者との呼吸が合っているか、役柄が役者の体に、目に、鼻に、口にどれだけフィットしているか、そういう細かなことがすべて合ってこそ、観客の心を動かすことができるということを忘れないようにしてます。